人材育成基本方針
~JAグループ岡山の運営等をリードする「人財集団」へ~
人材育成基本方針 ~JAグループ岡山の運営等をリードする「人財集団」へ~
令和4年4月14日
岡山県農業協同組合中央会
代表理事会長 青江 伯夫
1.人材育成方針策定の目的
本会は、令和2年4月15日、本会職員の能力開発に向けた取り組み方針として、「人材育成基本方針(以下、本方針)」を策定し、果たすべき使命と事業の遂行・達成のため、必要な職務遂行能力、さらにあるべき職員像を明確化し、取り組んできました。
その後、昨今の新型コロナ禍に端を発したデジタル技術を活用した生活様式や働き方等の新たな変化をはじめ、SDGs(持続可能な開発目標)やみどりの食料システム戦略への対応など中長期的な動き、さらには農協改革をめぐる議論の収束と規制改革実施計画への対応など、JAグループを取り巻く環境は、大きく変化いたしました。
こうした環境変化のなか、JAグループ岡山は、昨年11月に、第35回岡山県JA大会を開催し、「『農業を元気に!』『農家を元気に!』『地域を元気に!』をテーマに、今後3年間に一体的に取り組むべき基本方針を道しるべとして、決議いたしました。
今大会決議をうけ、本会としましても、向こう3か年の中期計画を策定するなかで、改めて、「本会が果たす役割・めざす姿と機能」とは何かを、次のとおり整理いたしました。
【中央会が果たす役割とめざす姿】
JAグループ岡山の運営等を「リード」するとともに、連合会等関係団体と連携し、「現場主義」に基づき、JA事業を「補完・支援」する取り組みを積極的に進め、「見える化」することで、「信頼される・頼られるJA岡山中央会」をめざします。
【中央会が果たすべき機能】
▹ 代表機能:組合員、JAの意思結集によるJAグループ岡山の代表機能
▹ 総合調整機能:地域・組織・事業の垣根を超えたJA・連合会等関係団体の総合調整機能
▹ 経営等相談機能:組織・事業・経営等に関する専門的相談機能
▹ 人材育成機能:組織・事業・経営改革を担う人材育成機能
上述の本会の果たすべき役割とめざす姿の実現、その機能を発揮するためには、本会職員の個々の能力の発揮と部門間連携、そして、組織としての機能発揮が必要となります。
このため、方針の刷新を行い、本会の「人材育成」に関する考え方を改めて整理・明確化し、全役職員の共通理解のもと、人づくり、職場づくりに取り組んでまいります。
2.人材育成の考え方
職員の育成を効果的に進めていくためには、能力開発や職員研修など通常の人材育成施策に加え、人事評価など人事管理全体で取り組む必要があります。
また、働きやすく風通しの良い職場は、職員が高いモチベーションを持ちながら、組織の一員として最大限能力を発揮するうえで必要な土台となります。
このため、人材育成を進めていくにあたり、「求められる・めざす職員像」を明確化し、その実現にむけて、「職場環境づくり」、「職員教育研修制度」、「人事管理制度」の領域ごとに体系化し、取り組みを着実に進めてまいります。
(1)求められる・めざす職員像(3つの視点から)
本会の「果たすべき役割・機能」の発揮による中期計画の遂行および単年度事業計画の達成のため、「求められる・めざす職員像」を以下の3つの視点から明確化し、共有化をはかることで全職員が常に意識します。
- 会員の視点:
会員満足を最重点に考え行動し、会員からの信頼と期待に応える職員
- 役員の視点:
「他者への配慮」などの協同組合理念を共有し、人間力・組織力・地頭力 を発揮できる職員
- 職員の視点:
常に環境変化への対応を心がけ、経理理念のもと、情熱をもって何事にもチャレンジできる職員
(2)階層別職員の役割および必要な能力
本方針では、上述の「求められる・めざす職員像」に加え、階層ごとの役割と求められる能力について、次のとおり示します。それぞれの階層に求められる役割や能力を認識し、自己研鑽や部下指導に取り組む必要があります。
【参考】求められる「必要な能力」
対人関係能力 | コミュニケーション能力 | 相手の感情面に配慮しながら、お互いの理解を深め、信頼関係を構築する能力。 |
---|---|---|
折衝・交渉能力 | 立場や意見の異なる相手に対して、調整や説得により理解を得る能力。 | |
業務遂行能力 | 個別専門能力 | 中央会職員として必要な専門知識及び担当業務に必要な専門知識を取得し、正確、迅速、公正に職務を遂行する能力。 |
業務改善遂行能力 | 職場や担当職務に対し、諸環境の変化や将来に見通しに合わせて、常に創意工夫や改善を重ね、業務の質を向上させる能力。 | |
タイムマネジメント能力 | 限られた時間の中で効果的に計画を立て、効率的に職務を遂行する能力。 | |
施策形成能力 | 課題発見能力 | 時代や諸環境の変化を鋭敏に察知し、新たな課題を発見する能力。 |
企画立案能力 | 課題に対して有効な方策を考え、取りまとめ、提案する能力。 | |
意思決定能力 | 物ごとの妥当性や適否を的確に識別し、状況把握や手段、方法を選択する能力。 | |
組織運営能力 | 業務調整能力 | 組織の中で求められる役割を的確に認識して行動し、的確に進行管理を行う能力。また、組織内で適切に業務配分を行う能力。 |
指導育成能力 | 組織のメンバーが組織目標の達成のために行動できるよう働きかけ、育成する能力。 | |
危機管理能力 | 想定外の事態が発生した場合に備えて体制を構築し、またはその事態に適切に対応できる能力。 |
【参考】求められる「必要な意識」
貢献意識 | JA・連合会等会員の立場で考え、農家組合員、農業、地域に貢献したいという価値観や意識。 |
---|---|
コンプライアンス意識 | コンプライアンス違反は、JA全体の信頼失墜につながりかねないことを常に意識し、法令・定款・規程・要領・マニュアル、そして社会的慣行・倫理をも含む幅広の定義での法令を守る意識。 |
コスト意識 | 経営的な感覚で業務にあたり、常に、「費用対効果」を考えて判断を行う意識。 |
自己成長意識 | JA・連合会等とともに、自己が連携・補完しながら成長していこうとする意欲や意識。 |
協同組合意識 | 協同組合運動の推進者として、民主的で公正な立場を堅持する意識。 |
3.人材育成の進め方と人材育成施策
(1)人材育成に向けた基本的な考え方
本会職員が、「求められる・めざす職員像」に近づくため、階層別に目指すべき能力を備える必要があります。また、職場環境、職員本人の考えや意欲などバランスよく整える必要があります。
このため、人材育成に向けた基本的な考え方として、有能な人材の確保にはじまり、自らが伸び、向上心が育つ環境・風土の醸成に取り組みます。
人材育成施策として、能力を発揮できる「職場環境」づくり、総合的、専門的な知識と能力向上を目的に計画的に実施される「職員教育研修制度」、さらには個々の職員を適正に評価し、意欲と能力を引き出す「人事管理制度」を総合的に組み合わせ、「求められる・めざす職員像」に近づけるよう、職員の育成を行います。
人材育成の基本的形成図
能力を発揮できる
職場環境づくり
自ら伸びる向上心が育ち、働きやすく、風通しが良い職場環境・風土
求められる・めざす職員像
▹ 会員満足を最重点に考え行動し、会員団体からの信頼と期待に応える職員
▹ 「他者への配慮」を最重点に考え行動し、会員団体からの信頼と期待に応える職員
▹ 常に変化への対応を心がけ、経営理念のもと、情熱をもって何事にもチャレンジできる職員
-
能力を高める
職員教育研修制度総合的、専門的な知識と能力の向上を目的に、計画的に実施する研修制度
-
意欲と能力を引き出す
人事管理制度個々の職員を適正に評価、多様な人材を確保・活用する人事管理制度
(2)能力を発揮できる職場環境づくり
職員が自らの能力を向上させ、組織の一員として存分に能力を発揮するためには、その土台となる働きやすく、風通しの良い「職場環境」づくりが不可欠です。
こうした職場環境を実現していくためには、職場内でのコミュニケーションの活性化、働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進、メンタルヘルスへの対応などが必要となるため、職場環境の整備に取り組みます。
- 活力ある職場づくりの推進
i 職場目標の明確化と目的意識の醸成
ii 職場内での職員間での活発なコミュニケーションの実施
iii 職場内教育(OJT)の積極的な実施 など - 働き方改革、各種ハラスメント対策、ワーク・ライフ・バランスの推進
i 年次有給休暇の計画的取得の推進
ii 各種ハラスメント対策の実施
iii 新型コロナ禍等における在宅勤務(テレワーク)の実施
iv 仕事と家庭生活(育児・介護等)の両立に向けた取り組み推進 など - メンタルヘルスの取り組み
i ストレスチェック制度の実施
ii 産業医によるメンタルヘルス相談の実施 など
(3)能力を高める総合的な職員教育研修の実施
次のとおり、JA全中および本会主催の階層別研修や専門研修のほか、外部研修への派遣などを計画的に実施し、併せて各種資格取得を促進します。
- 基本教育(階層別マネジメント能力等の向上)
i 新採用職員研修(フォロー研修含む)
ii 初級職員研修(フォロー研修含む)
iii 中堅職員研修(フォロー研修含む)
iv 監督者(準管理職)研修(フォロー研修含む)
v 初級管理者研修(フォロー研修含む)
vi 上級管理者研修
vii コンプライアンス研修
viii その他の基礎教育としての能力向上研修 - 専門教育(専門人材の育成)
i 人事労務セミナー
ii JAファシリテーションインストラクター研修
iii JA戦略型中核人材インストラクター研修
iv その他の全中・連合会や外部機関団体等の主催する各種研修会 など - 戦略型教育(戦略型中核人材の育成)
i 農業協同組合監査士
ii 農業協同組合内部監査士
iii 日商簿記(3級以上)
iv JA経営マスターコース - 自己啓発学習の促進(各種資格試験へチャレンジ)活力ある職場づくりの推進
i 公認会計士
ii 税理士
iii 中小企業診断士
iv 社会保険労務士
v 司法書士
vi 行政書士
vii キャリアコンサルタント
viii 第1種・第2種衛生管理者
ix その他
(4)意欲と能力を引き出す人事管理
- トータル人事制度の確立と運用
総合力を発揮する人材育成にむけ、「人事管理体制の確立」および「人事教育担当部署の体制強化」に取り組むとともに、職員が自ら学び、考え、行動するよう、「トータル人事制度」の確立と運用をすすめ、日常業務における学びと教育研修を効果的に実施します。
i 目標管理制度の適切な実施
ii 適切な人事考課の実施
iii 計画的な人材育成(教育研修体系・能力開発プログラムの整備、昇格・任用基準等とする資格・研修などの明示)
iv 能力開発目標・キャリア計画の策定(キャリア設計研修・面談の実施)
v 異動・人事ローテーションの考え方の整理 など - 多様な人材の確保・活用
人事管理の目的は、人材の育成にとどまらず、その職員が在籍する組織の維持・向上にあることから、新採用職員のほか多様な人材を計画的に確保するとともに、嘱託職員や人事交流によるJAグループ岡山全体の人材活用に取り組みます。
i 新規採用職員の確保
ii JA・連合会等の人事交流による人材の活用
iii 本会OB・OGを含む専門能力や経験を有する嘱託職員の活用
iv その他非正規職員の活用
4.人事管理・人材育成促進に向けた体制整備と役割
人事管理や人材育成を促進していくためには、職員研修や人事管理制度によ って職員の仕事に対する意欲や能力を向上させるだけでなく、その意欲や能力 を発揮できる土台となる職場環境を整備し、人材育成の仕組みを機能させるこ とが、引き続き重要となります。
そのため、随時、方針や実施計画の見直しを行うほか、計画的・継続的な人 材育成に取り組みます。
(1)方針・実施計画等の進捗管理体制
方針や単年度実施計画、促進方法・進捗状況管理等については、本会業務推進会議で協議・検討を行います。また、具体的な実施にあたっては、各部室長を中心に取り組みを促進してまいります。さらに、毎年度、取り組みの進捗状況について取りまとめ・報告を行い、次年度の取り組みに反映させるなど、取り組みの実効性を高めていきます(PDCAサイクルによる進捗管理の実践)。
(2)人材育成の制度整備・運用の担い手と役割
人事管理諸制度の整備と適正な運用、さらに人材育成を効果的に進めるため、人事教育担当部署(総務企画部)と役員及び管理職層の職員の三者が、本会における人材育成の担い手として連携します。
(3)人事教育担当部署の役割
人事教育担当部署は、職員自らが学び、考え、行動できる人材の育成に向け、「トータル人事制度」の確立と運用を進めます。また、日常業務を通じた学びと教育研修が、職場において効果的に実施されるよう、研修受講履歴や資格取得等の有無を把握するための教育研修台帳を整備し、研修等効果の検証を行う等、方針や実施計画の進捗管理に努めます。
以上